桜の季節なのに、梅のハナシ。



・・・告白します。

子どもの頃、ワタクシは・・・ 許されざる大罪 を犯しました。





あれは、遡ることウン十年前・・・
まだワタシが 小学二年生か三年生の頃 だったと思います。


ワタシが住むマンションの、共同花壇のようなところに今もある、白梅の木・・・
その木にたわわに実った梅の実を面白半分に、ひとつ残らずもぎ取ってしまったのです。

あろうことかその梅の実を、共犯の友人二人と共に塀にぶつけて遊んでいたところを
梅の木の持ち主に見つかり、とっ捕まってこっぴどく叱られました (あたりまえだ)。

持ち主は、そのマンション内だけでなく、近所でも 「 おっかない爺さん 」 で有名だった
Kさん ( 通称・植木じいさん ) でした。


その時は、ただひたすら
『 うっわ~、この爺さんか~! やっべぇ~!』
ぐらいのことしか考えていなかったと思います。

けれど時間が経つにつれ、だんだん自分たちのしたことの重大さを感じ始めました。

自分たちが軽い気持ちで遊び道具にしてしまった梅の実・・・
無惨につぶれて足もとに転がっているその実が、もう元に戻ることはないのだ。


しゅん・・・と うなだれながら、
オロカモノ三人組は 「 これからどうしたらいいか? 」 話し合いました。
まずはあの “ おっかない爺さん ” に謝らなくては!!

震える足でKさん宅のチャイムを鳴らすと、Kさんではなく奥さんがドアを開け、
ワタシたちの顔を見ると 「 あらあら。」 というような表情をしました。
そして 「 なあに、わざわざ来たの? また怒られるよ。」 と苦笑いしながら言いました。

それでも自分たちはおじいさんに謝りたいのだと、逃げ出したい気持ち半分で告げると
・・・奥からKさん本人が現れました!

緊張して、思わず身構えたワタシたちでしたが・・・
Kさんは、さっきまでの カミナリじいさん とは別人のように穏やかに
ワタシたちの謝罪を聞き、そしてまた穏やかに、話し始めました。

あの梅の木は、自分が丹精して育てているというだけではなく、
毎年あの実で梅干しや梅酒を造って、知り合いの方に分けているのだということ、
皆さんそれを、とても楽しみにしているということ・・・


もしも同じ事を今やったなら、窃盗罪か何かで訴えられたうえに
土下座と慰謝料が必要になりそうなほどの悪事です。
それを “ 子どものしたことだから ” というだけで、当時のワタシたちは無罪放免。

正直、ほっ。 としながらも、
「 もうぜったいに、あんなことしちゃ ダメだぞ。」 最後にそう言った Kさん の悲しげな顔は
子どもながらに 罪悪感 を覚えずにはいられないものでした。



あれから長い年月が経ち、
お年と共にだんだんと穏やかな気性になっていった “ 植木じいさん ” こと Kさん は、
5年ほど前に亡くなりました。

今では見事 90゜に腰が曲がり、目も耳も悪くなられた奥さんが、
それでも元気に植木の水やりをしています。






さて、長くなりましたが、この話はまだ続きます。


今から数年前、Kさんが亡くなった翌年あたりでしょうか?
台風一過の空の下、このマンションに 小さな事件 が起こったのです。

駐車場へと続く通路わきに生えていた木が風で倒れかけ、このままでは危険なため、
『 撤去したいので持ち主は申し出て下さい 』 と、マンションの掲示板に張り紙が。

結局、誰も名乗り出ることなく、程なくその木は撤去されました。

それにしても・・・
そもそもなぜ、あんなところに木が生えていたのだろう??


なにしろそこは、コンクリートの壁と壁の一角、もちろん下もコンクリート。
そんな場所に、昔 誰かが土を持ってきて、レンガで囲い、
むりやり30センチ四方程度の ミニミニ花壇 にしてしまったらしいのです。

福寿草やらサクラソウやら、ちょっとした草花が植えられている程度だったけれど、
誰に咎められることなく数十年、そのままになっていました。


ところが、いつの間にかそこに “ 木 ” が生えてきました。
倒れた時には2メートルは超えていたであろう高さに成長していた “ 木 ”。

何の木かはわからないまでも、あきらかに雑草とは違う。
そんなものを、なぜわざわざこんなに狭くて陽当たりの悪いところに植えたのだろう?


・・・そこまで考えて、ワタシは 「 ・・・まさか!」 と思い当たりました。

それは、 あの、 梅。


あの日、Kさんに謝罪したあと、
ワタシたちは自分たちなりに考えついた 償いの行動 をしていたのです。

バカな子どもの犠牲となった、かわいそうな梅の実・・・
ワタシたちはそれら全部を、あちこちの土に埋めて歩いたのです。
いつか芽吹いて、またたくさんの実をつけてくれますように、と祈りながら。

悲しいかな、当時すでに道はアスファルト舗装、土を見つけるのも一苦労でした。
あっちの公園、こっちのお寺・・・

そうした中の一粒を、例のミニミニ花壇に埋めた記憶がたしかにあるのです。


謎の木が、ミニミニ花壇もろとも撤去されて間もない頃、
ワタシは母に、その話をしました。

( ※ あの時、猫の子のように襟首掴まれて家に怒鳴り込まれたので、
  母もワタシの犯した大罪のことは記憶にあったらしい・・・
  ここでひとしきり 「 まったくアンタは、ろくなことしない子どもだった!」 と
  いらぬお説教をくらう羽目になった・・・ 苦笑 )

「 そぉ~んなバカな。」 と一笑に付され、
ワタシ自身 『 そうだよな・・・ ただ埋めただけでニョキニョキ生えやしないよなぁ・・・ 』
そう思っていた。

しかし!!


NEKO PHOTOさんに、とらば。 植物の生命力はハンパじゃねえ!

この ゆず、現在は植木鉢に植えられて、ひょろりひょろりと成長中とのこと。

これを見ていたら、やっぱりあの木はあの日の梅の実なんじゃないかなあ・・・などと
思わずにはいられないのです。


じいさん、ゴメン!
また梅の木を助けてあげられなかった ( かもしれない ) よ~ぅ・・・(涙)





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by cheshire456 | 2005-04-03 14:10 | 日々のあれこれ


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